開業ドクターの声 VOICES OF PRACTICING DOCTORS

すべてはこどものために
こどもにやさしく

にしなこどもクリニック

静岡市葵区瀬名3-38-3

https://nishina-kodomo-clinic.com/

院長 金沢 貴保 KANAZAWA

京都府立医科大学卒
前職静岡県立こども病院 小児集中治療科 救急総合診察科

2021年にクリニックを開業、2年後に多機能型児童発達支援センターを併設

障害や病気のある子たちが通える場所をつくりたい。それを目標にした小児科開業

僕のところは小児科クリニックの横に児童発達支援センターを併設しています。県立こども病院のICUに勤務していた頃、重症の子たちをずっと診てきました。障害を持って生き残る子たちも数多く診ていく中で、そういう子たちが退院後に通える場所をつくりたい。日常生活を支えてあげたい。その手伝いをするのが僕の役目なのかなあと思うようになり…。それが開業の一番の理由です。センターありきのクリニックの開業でした。うちのような多機能型の支援センターは全国的にみても稀で、需要はあるのになかなか実現は難しい。こういう福祉施設は報酬がとても少なく、単独で経営していくのはまず不可能ですから。それでクリニックを併設し、クリニックで得た収益をセンターに回し赤字補填をしながら経営しているという状況です。

インクルーシブな保育環境をつくり、未来の医療福祉の種を撒く

センターを併設するにあたり、こども病院で働きながら何年も役所通いをしました。医療、福祉、児童福祉の制度がそれぞれ縦割りで全然話が横に繋がっていかない。役所も前例がないから調べますという感じで、二転三転。5~6年かかりました。元々、クリニックとセンターだけでなく、保育園、幼稚園、病児病後児保育も一体型で併設したかったのでより時間がかかったのですが、一旦切り離してクリニックとセンターだけのオープンとしました。今、保育園、幼稚園、病児病後保育施設を併設させる話を進めています。元気な子も病気のある子も障害のある子も融合した保育環境を作りたいと考えています。小さい時からそういう心、精神が養われた子が大人になったら、きっと医療福祉の面ですごくいいことをしてくれるんじゃないかと思っています。その種まきを僕らの世代でしてあげたい。

もしもに備えた、こども病院まで車で10~15分のエリアが絶対条件

創造舎との出合いは金融機関の紹介でした。大手建設会社ならコンサルも含めてワンストップでできることは知っていましたが、それは当初から考えていませんでした。大手には社内規定のようなものがいろいろあって、僕の思いやわがままを理解してもらえないだろうと思っていたからです。初めて会った創造舎の山梨社長はとにかく気さくな人で、僕の開業の思いを熱心に聞いてくれて、センターや保育園をつくるという未来像も含めて理解してくれました。信頼できる会社かもしれないと思いましたね。信念やポリシー、こういう風にしたいというものが強い人にとって、創造舎はそれを叶えてくれる会社じゃないかと思います。僕は土地探しから創造舎にお願いしました。センターや保育園等も考えていたので広い土地が必要でしたし、エリアも県立こども病院まで車で10~15分という条件を提示していたので、大変だったと思います。それが、創造舎の熱心な交渉のおかげで、ご理解ある地主さんの所有地を譲っていただけることになりました。そこから先はトントン拍子に進み、1年位で開業となりました。

不具合も、「こうしておけば」も、一切なし。結局は人と人との繋がり

設計建築と医療の分野ではまるで畑が違うので、僕のイメージや思い描いているものと、設計の人が描くイメージが嚙み合わない部分が出てくるのではないかと少し心配だったのですが、僕が描いている以上のものを提案してくれました。僕のイメージを具現化してくれたことに感謝しています。なにより人と人との繋がりというか、コミュニケーションですよ。何回も何回も話し合って、ものすごく親身になって対応してくれました。だから不具合がまるでない。僕みたいないかつい人間には到底できない、温もりのある、来院した子も親も安心できるようなやさしい空間をつくってもらいました。木目の温かさや、ところどころに見える丸みをおびたデザインも気に入っています。もちろん機能面も、導線や検査室の配置などちゃんとコミュニケーションをとって進めてくれたので、使い始めてもう5年目に入りますが「もうちょっとこうしておいた方が良かったなあ」というところもありません。

地域に根差し、まじめに誠実にやっていれば、おのずと患者さんは集まって来る

「一番不安だったことは?」と聞かれたら、やっぱり「お金」です。借金もするし、開業前から出費が続く。その数字を見た時に「大丈夫かなあ」「やっていけるかなあ」「コケたらどうしよう」なんて不安になる。たぶんどの開業医さんもそうだと思います。でも、やるしかない。無責任には言えませんが、まじめに誠実にやっていれば、おのずと患者さんは集まって来る。患者さん同士の口コミというか、特に小児科はお母さんたちのネットワーク、口コミがすごく強いですから。県立こども病院時代の基礎疾患を持ったこどもたちも、開業を知って遠方から来てくれていますが、近隣の地元の子たちがどんどん来てくれるような、地域に根付いたものしないと難しいと思います。創造舎が協力してくれた内覧会がその第一歩。ありがたいことに大勢の地元の方に来てもらえました。今は創造舎にも協力してもらって医院の敷地内で患者さん向けの夏祭りや秋祭りを企画して楽しんでいます。