
まちの中で感じていた幸せな気持ちになれる建物の存在。
実はこのクリニックとは別に弁理士の仕事もしていて、創造舎さんとは商標権の出願がきっかけで出会っていました。でも、創造舎さんが手掛ける建築との出会ったのは静岡市の人宿町でした。私は以前から人宿町でよく食事をしていたのですが、建物がお洒落になって、居心地もよくて、素敵なまちに変わっていくのを肌で感じていました。その建物を手掛けていたのが創造舎さんだったんです。その空間はとても雰囲気がよくて、食事をしていると幸せな気持ちになれました。だからクリニックの設計や建築も創造舎さんにお願いしてみたいと思ったんです。
洗練されたデザインの中に、クリニックに必要な機能が備えられた建物。
私はシックで落ち着いたトーンのデザインが好きです。こんな間取りにしたい、こんなデザインにしたいというイメージを創造舎さんに伝えていく形で進めていったのですが、すべてにおいて私の理想を形にしてくれたと言ってもよいくらい、要望に応えてくれました。そこに創造舎さんのアレンジが加わって、デザイン的にも洗練されています。院内を見ていただければわかると思いますが、収納の棚ひとつとってもいちいちかっこいいんです。駐車場のデザインもそのひとつです。眼科ですから視力が弱った方も訪れるのですが、白と黒に色分けされていることで区画がわかりやすくなっていて、さらに暗くなれば地面からライトがつくように工夫されています。見た目だけではなく、クリニックに必要な機能が備えられていることにも満足しています。


間口の広い建物によって、美しさと開放感をつくる。
建物の形で言うと、私は横に長い方が好きなんです。同じ面積に建つ建物だったとしても、奥に長いよりも間口が広い方が開放感があって建物も美しく見えますよね。当時はコロナ禍だったということもあって人が密集しない広い待合室をつくるべきだとも考えていたので、入口や待合室を広くした1 階建ての建物にしました。耐震性があって理想を形にすることができるのであれば鉄筋でも木造でもよかったのですが、結果として木造にしてよかったと思っています。コスト面のメリットもあるかもしれませんが、それよりも余分な柱がなくて空間が美しいんです。不自然な柱もなく、イメージ通りに仕上げることができました。
賃貸物件ではできなかった理想の形を具現化していく。
賃貸物件でクリニックをやっている時には、理想とするものがありながらも形にすることができませんでした。その経験もあって、この建物には私が思い描いてきたものが全部具現化されています。理念の中のひとつに「Friendly:親しみやすく」というキーワードがありますが、笑顔で接しやすいスタッフが受付を行っているだけでなく、カウンターの幅も広くオープンな雰囲気になっているのでスタッフの表情がよく見えるようになっています。


理念を実現するための人材、機器、そして建物。
導線にも工夫があって、患者さんもスタッフも移動がしやすいようにつくられていています。診察や検査への移動もスムーズになるので、患者さんの負担を減らすために私たちが掲げている「Fast:速く」にもつながっていると思います。視力検査の機器が5台設置して同時に検査ができるようにしたり、瞳孔を広げなくても撮影ができる超広角眼底カメラを導入したり、待ち時間を減らすための機能も充実させていますが、そのためのスペースとスタッフが必要になってきます。視能訓練士が常に2 人いて看護師が3 人以上いるという体制をつくっていますが、横に長い建物のつくりが生かされていると思います。

このクリニックが、まちの魅力のひとつになることを願って。
設計や施工の段階において、私が思い描いていたイメージと創造舎さんが持っているこだわりやノウハウが噛み合っている感覚がありました。完成した建物は患者さんにも喜んでいただいていますし、私自身も快適に診療ができて、スタッフにとっても働きやすい環境になりました。私が人宿町で感じたように、この建物が島田市の魅力のひとつになってくれることを願っています。まちの眼科クリニックとして、これからも臨機応変にその役割を果たしていきます。
